こんにちは、データデザイン部でディレクター兼プランナーをしております加藤です。

普段はお客様の事業課題に合わせ、AI・データ活用を軸に課題解決プロジェクトを推進したり、自社の新規サービスを企画、推進したりしています。

今回は私が担当しました需要予測系AI活用プロジェクトの実案件での経験を踏まえ、世の中の需要予測サービスの潮流と実案件から見えてきた重要な考え方について、お伝えしようと思います。

 

そもそも需要予測とは?

定義

そもそも、世の中でいう需要予測とはどういった意味なのでしょうか?Wikipediaによると、需要予測の定義は以下となっています。

  • 需要予測(じゅようよそく)とは、物の需要を短期的または長期的に予測することである。
  • 需要予測には様々な手法があり、最も状況に適した手法を選択することが重要である。移動平均法と指数平滑法は最も広く利用されている。

[出典]Wikipedia「需要予測」より引用

上記のように、短期、長期問わず物の需要を予測することと言った広い定義になっており、移動平均法(単純に過去の実績から将来を予測する方法)や指数平滑法(過去の予測値と実績値を利用して需要を予測する方法)などが昔から様々な用途(例:年度の売上計画など)で利用されています。

 

目的

目的は企業の業種・業態によって様々ですが、代表的な例では以下が挙げられます。

【需要予測の目的例】

  • 商品の在庫削減
  • 材料の発注計画
  • 従業員のシフト計画
  • 年度予算の策定 など

いずれも、企業の売上やコストと密接に関わる目的で、需要予測が行われていることがわかります。ゆえに、予測精度が企業の業績に大きく影響することは言うまでもありません。

 

需要予測サービスの市場感

それでは、需要予測をサービスとして展開している市場はどのような状況なのでしょうか?

国内の人工知能ソリューション市場規模

ここではまず、国内の人工知能ソリューションの市場について見てみましょう。以下は、株式会社MM総研様「企業の人工知能(AI)導入実態調査(2018年9月)」での調査結果となります。

  • 国内AIビジネス市場は2017年度に2,568億円の規模となり、2018年度には2,736億円と前年比5%増加する見通しだ。その後も年平均成長率7.6%で拡大を続け、2022年度には3,437億円に達すると予測する。

【出典】MM総研「企業の人工知能(AI)導入実態調査(2018年9月)」より引用

 

上記の通り、市場規模は増加していく見込みです。

 

最も活用/活用検討されている人工知能ソリューション

次に、最も活用/活用検討されている人工知能ソリューションをみてみましょう。こちらも以下、株式会社MM総研様「企業の人工知能(AI)導入実態調査(2018年9月)」での調査結果となります。

  • AIソリューションを自社が提供しているサービスなどに活用または活用検討している企業(n=513)に、「最も利用している」または「最も利用したい」AIソリューションを聞いた。最も多く回答を得たのは、「需要予測や予兆分析などのデータ分析サービス」(13.8%)。

【出典】MM総研「企業の人工知能(AI)導入実態調査(2018年9月)」 より引用

こちらの結果から、需要予測を行うサービスは市場感として最も盛り上がっているサービスの1つといえるのではないでしょうか。

 

 

需要予測サービスの潮流(独自調査)

サービスのポジショニングマップ

ここからは私が独自に調査した結果です。国内における需要予測サービスは大まかに見ると、(1)大企業向け高価格カスタマイズサービスと、(2)中小企業向け低価格お手軽サービスに二極化しているのではないかと考えています。

<需要予測サービスのポジショニングマップ>
上記は需要予測サービスを調査し分かったことをポジショニングマップにした図です。こちらの図では、縦軸を「カスタマイズお手軽」、横軸を「大企業向け中小企業向け」とし、(1)主に大手ITベンダーが提供している「高価格カスタマイズサービス」と、(2)主に中小企業やスタートアップが提供している「低価格お手軽サービス」に二極化しているのはないかということを表しています。次にそれぞれについての代表例をみてみましょう。

(1) 高価格カスタマイズサービス

以下の表のサービス概要(URL)を見ていただければ分かるとおり、ほとんどの大手ITベンダーはお客様(個社)のニーズに合わせたインテグレーション(個別開発)付きのサービスで、在庫管理や発注システムと合わせて販売している企業もあります。 富士通も例外ではありません

 

<高価格カスタマイズサービスを提供している大手ITベンダー例(抜粋)>

企業名 サービス概要URL
富士通(株) URL
日本電気(株) URL
(株)日立ソリューションズ東日本 URL
日本アイ・ビー・エム(株) URL
三井情報(株) URL
コムチュア(株) URL
JFEシステムズ(株) URL

注1)順不同となります。
注2)各サービスを批評する意図はありません。

 

価格については要お問い合わせですが、ほとんどが個別見積で何百~何億円単位となるでしょう。このようなサービスは忌憚なくいうと、機能に大差はないと考えています。(※諸説あります。)機能というよりはむしろ、各ベンダーのお客様との関係性や知識・経験に大きく依存するのではないかと考えています。いかにお客様のニーズについて的確に捉え、それに合わせた個別開発を実施できるかが導入の勝敗を分けているので、このような高価格で個別カスタマイズ付きのサービスとなるのでしょう。

(2) 低価格お手頃サービス

一方で、CSVなどでデータを用意するだけで簡単に予測ができるサービスも存在します。ここでは、私の目に止まった2社のサービスについてご紹介します。

1.「Quick AI」(URL: https://www.quick-ai.com/

<特徴>

  • 基本料金は月額8,000(税抜)
  • Excelのアドイン機能で、インストールするだけで利用可能
  • 予測モデルの生成から利用までExcelで完結。APIとしても利用可能
     

2.「簡単らくらく需要予測One(URL: https://www.chess-inc.com/forecaster1/)

<特徴>

  • DVD売り切りのソフトウェアで、29,800(税抜)
  • 既存システムとの連携も可能
  • ディープラーニング(LSTM)から単純な移動平均まで予測手法を網羅

このように、大手ITベンダーのカスタマイズサービスには費用を払えないような中小企業に向けたサービスも存在しています。すぐに導入できてお手軽な反面、ある程度自ら操作方法について学び、サービスに合わせていかなければならず、分析に関する知見やノウハウ(特に予測結果に対する見方)も必要になると考えられます。

 

 

需要予測×AIを考える上で重要な考え方(実案件より)

ここまでは需要予測サービスをいくつか紹介してきました。最後に、私が実際に経験した、需要予測系のAI活用を考える上で重要な考え方についてご紹介します。ここで述べることはどんな需要予測サービスを導入・活用するうえでも重要な考え方だといえるでしょう。

目的に合わせ、予測対象と期間を明確にする

冒頭に述べた通り、なにかを予測するときは必ず目的があります。予測すること、及びその精度を向上することが目的となってしまっている場合は今一度、目的を振り返ってください。その目的がないと需要予測のプロジェクトは頓挫します。(この点はどのプロジェクトでも同じですが、大事なことなので記載しておきます。)さて目的が決まりましたら必ず、予測すべき対象と期間を設定しましょう。以下は予測の目的に合わせた予測対象と予測期間の例です。自社の場合はどうなるのか考えてみるヒントになれば幸いです。

<目的別の予測対象と期間>

予測の目的 予測対象 予測期間
商品の在庫削減 商品 1日毎2週間後まで(※リードタイムに依存)
材料の発注計画 (その材料で作る)製品 1週間毎3ヶ月後まで(※リードタイムに依存)
従業員のシフト計画 客数 1時間毎1ヶ月後まで(※シフト作成方法に依存)
年度予算の策定 売上 1ヶ月毎1年後まで(※予算策定方法に依存)

上記のように、目的に合わせて予測すべき対象と予測期間を明確に定義することで、作るべき予測モデルの仕様が明確になります。(今回は詳しい技術的な点には触れません。)逆にこれを設定せずになんとなく予測を始めてしまうと、目的・予測対象・予測期間のいずれか、または全てがあやふやになり、作るべき予測モデルが決まらず、プロジェクトが進まない原因となります。場合によっては複数の予測モデルを作ることも検討し、優先順位を決められるとスムーズです。

“現象”と”予測”は分けて考える

なにかを予測するときには必ず過去のデータが必要になるのは言うまでもありません。その際に気をつけなければならないのが、現象予測の違いです。

たとえば、目的が「従業員のシフト計画」、予測対象が「客数」、予測期間が「1時間毎1ヶ月後まで」とします。このとき、予測に利用するデータとして過去の天気実績を用いて予測モデルを作成し、そのモデルを評価したとしましょう。そして、この時の評価では実用に値すると判断し、いざ運用をし始めた場面を想像してください。するとどうでしょう。評価したときよりも明らかに精度が悪くなってしまいました。これはなぜでしょうか。

考えられる原因としては、実際の予測時に使用できるのは天気の実績ではなく、予報であるため、モデルを評価したときよりも天気は実績に沿わず外れてしまった結果、予測できなかったという点です。

実際の天気実績を使うと客数推移の現象は説明できますが、未知なる客数の予測はできません。このように現象予測を分けて考えることが需要予測を行う上では重要なのです。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は需要予測にフォーカスをおいて、定義・市場感・世の中の潮流についてまとめた上で、実案件での経験について述べました。ぜひ需要予測サービスを検討する、もしくは導入する際の参考になれば幸いです。

 

著者の紹介

著者の紹介ディレクター兼プランナー 加藤 大己
主にメーカーやサービス業のAI・データ活用プロジェクトを複数推進。また、新規AI・データ活用サービスの企画・推進も担当。
 
JDLA Deep Learning for GENERAL 2017

 

 

資料の無料ダウンロード

AI導入のアプローチや、データ活用に関する資料をご用意いたしました。

サラリーマンのためのデータサイエンス基礎講座

非エンジニアの方向けに、データサイエンスの基礎から便利なフレームワーク、そしてデータを直接操作してAI開発を体験できるハンズオンまでを網羅した、人気の半日集中講座を毎月開催しております。